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R61

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東京に住むクライアントがスキーを楽しむための拠点として計画した別荘である。活動的で、合理的、そして幾分せっかちなクライアントの要望が従来の別荘と似ても似つかぬユニークな建築を生成した。 車で到着したらすぐに近くのスキー場に向かえるように幹線道(県道 61号)路沿いの土地が敷地として選ばれた。奥まった別荘地とは異なり、大きな道路に面しているため、除雪も頻繁に行われて大雪の日でも立ち往生する心配はない。敷地には車がスムーズに入れるように、 矩形の建築平面が道路に対して傾けられている。大小の正方形が重なった平面は、玄関から始まるロータリー型のワンルームを形成し、 滞在者の回遊や出入りをスムーズにする平面計画となっている。また、小さな正方形のタワーは設備コアとして機能し、その2階には寝室 がある。 室内はオイルステインによって漆黒に染められており、雑然とした外 部から隔離された没入感のある空間が生まれている。境界が暗闇に 溶け込み、無限の広がりを感じることができる。また、回遊空間の進 行方向に配置された窓からは光と緑が取り込まれ、極限までミニマル な空間の内部に明と暗や自然と無機質の間の驚くほど豊かなグラデ ーションが現象する。明るいグレーのモルタルの床を反射した光が室内を明るく柔らかく照らす。

#モーテル+山小屋、#マレーヴィッチ、#カラヴァジェスキ、#キアロスクーロ、#ペドロ・コスタ
所在地 / location群馬県みなかみ町 / Minakami- Cho , Gumma Prefecture
用途 / building type別荘 / Villa
設計協力 / associate designer竹沢洸人 / Hiroto Takekawa
構造設計 / structure design三原悠子 / Yuko Mihara
写真撮影 / photographer太田拓実 / Takumi Ota

樫原徹

工学院大学建築学部建築デザイン学科教授(2022年より)
樫原研究室
<経歴>
1972兵庫県神戸市生まれ
1996京都大学工学部建築学科卒業
1998東京大学大学院研究科建築学専攻修士課程終了
2000デザインヌーブ一級建築士事務所共同設立
2004樫原徹建築設計事務所設立
2009株式会社ヌーブを太田浩史と設立
2001〜2008京都造形大学通信学部建築デザインコース非常勤講師
2001〜2007慶応大学理工学部SD工学科非常勤講師
2004〜2010横浜国立大学工学部建築学科非常勤講師
2004〜2013明治大学理工学部建築学科非常勤講師
2006〜2010東京外国語大学非常勤講師
2014〜2021工学院大学建築学部建築デザイン学科准教授
2022〜工学院大学建築学部建築デザイン学科教授
<受賞>
1999第6回ジャパンアートスカラシップ/グランプリ
2008D&AD Awards 2008 / Yellow Pencil (Silver Prize)
2010日本建築学会北陸建築文化賞
2010D&AD Awards 2010 / Wood Pencil (Bronza Prize)
2018FAITH AND FORM AWARD